動植物由来の天然香料と採取方法

調香に使用する香料は大きく分類すると天然香料と合成香料と調合香料の3種類に分類されます。
天然香料は、自然界に存在する動植物が原料の香料です。花や草木、果実などから取り出される植物由来のものがほとんどですが、動物由来の香料もあります。
合成香料は、天然香料に由来せず化学反応を利用した方法でつくられた香料で、1つの芳香分子で構成された香料になります。
調合香料は、天然香料や合成香料を混合した香料で、天然香料のローズなど希少性が高く高価な香料の代替香料を目的として制作された香料になります。
今回は、天然香料について詳しく紹介したいと思います。

植物由来の天然香料

天然香料の採油箇所には、次のようなものがあります。
 採油箇所 天然香料名
 花弁 ローズ、ジャスミン、キンモクセイ
 花蕾 カシス
 香草 ペパーミント、スペアミント、ローズマリー、セージ
 葉 ローレル、パチュリ、ユーカリ、月桃
 樹木 サンダルウッド、シダーウッド、ローズウッド
 樹皮 シンナモン、キハダ
 樹脂 フランキンセンス、エレミ、ベンゾイン
 根茎 ジンジャー、ターメリック
 種子 ナツメグ、ビターアーモンド、マスタード
 果実 オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ

動物由来の天然香料

動物由来の香料には、次のものがあります。

 天然香料名抽出部位
 ムスクオスの麝香鹿(ジャコウジカ)の香嚢(こうのう)という部位から得られる分泌液を乾燥したもの。麝香(じゃこう)と呼ばれている。
 アンバー(アンバーグリス)マッコウクジラの腸内で出来る結石を乾燥したもの。竜涎香(りゅうぜんこう)と呼ばれている。
 シベット 麝香猫(ジャコウネコ)の香嚢(こうのう)という部位から得られる分泌液を乾燥したもの。霊猫香(れいびょうこう)と呼ばれている。
 カストリウムビーバーの香嚢(こうのう)という部位から得られる分泌液を乾燥したもの。海狸香(かいりこう)と呼ばれている。

天然香料の採取方法

水蒸気蒸留法
天然香料の抽出法として、最も一般的で効率的な抽出方法です。
葉や花などの原料を蒸留釜に入れ、下の熱湯から出る蒸気を蒸留釜に送り込みます。 すると植物のなかにある精油になる成分が水蒸気になって上昇します。
この水蒸気を冷やすとハーブウォーター(芳香蒸留水)と精油の2層になります。
圧搾法
レモンやライム、グレープフルーツなどの柑橘系の原料の精油を抽出するときに用いられる方法です。
果物の皮を手で絞り油胞(精油が溜まっている袋)が破裂し精油を抽出しスポンジで吸い込みます。スポンジが精油で浸ったら容器に精油を移し出します。
溶媒抽出法(アブソリュート)
一般的にローズやジャスミンなどのとても繊細な花びらから香りを抽出するときに使う方法です。
原料と揮発性の有機溶剤を混ぜて原料の芳香物質を有機溶剤に移します。 原料を取り除いて芳香物質の移った有機溶剤を揮発させ、原料に含まれていた芳香物質と蝋分を含むバターのような形状のコンクリートと呼ばれる物質を残します。 このコンクリートにアルコールを加えて芳香分子だけを取り出します。アルコールに溶けずに残る蝋分と不純物を取り除いてから減圧をかけて揮発させアブソリュートを取り出します。
他にも
アンフルラージュ法(冷浸法)
超臨界流体抽出法(液体ガス抽出法)
マセレーション法 (温室法)
分留法
CO2蒸留法
などがあります。

まとめ

天然香料は、香り以外にも身体の機能を向上させる効果や、気持ちを落ち着かせるリラクゼーション効果、ホルモンバランスを整える効果などが期待できますが、人気が高いローズなどの精油は採油率が0.03%で、花弁3トンからわずか約1kgしか抽出ができないため、希少性が高く大変高価です。
本物の精油は商品情報に香料名、採油箇所、抽出方法を記載していますので、採油箇所や抽出法を見て選ぶことをお勧めします。
※採油箇所や抽出方法の記載がない精油は、合成香料で安価に手に入るものがほとんどです。また、精油にもホホバオイルなどをブレンドし希釈されたものなど安価に手に入るものもありますので、成分を確認してから購入することをお勧めします。

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