ムスクとホワイトムスクの違いとは
ムスクは香水を始め、シャンプーやボディーソープ、化粧品、衣料用洗剤や柔軟剤などに幅広く利用されています。ムスクとホワイトムスクは混同されることも多いですが、本来のムスクの香りとホワイトムスクの香りは、全く異なります。
今回はムスクとホワイトムスクの違いについて詳しく解説していきます。
ムスクとは
ムスクとは、主に南アジア山岳の森や潅木（かんぼく）地帯に生息する雄の麝香鹿（ジャコウジカ）の腹部にある香嚢（こうのう）から得られる分泌物を乾燥した香料のことです。
現在天然のムスクは、麝香の採取のために麝香鹿が乱獲されたため、絶滅の危機に瀕しており、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約（ワシントン条約）により、麝香の商業目的の国際取引は原則として禁止されています。
そのため、天然の麝香（ムスク）の使用は、ほとんどありません。
ムスクの香り
麝香の「麝」という漢字は、「鹿」と「射」を組み合わせたもので、「鹿の放つ香りが、矢を射るように遠くまで飛ぶ」という意味になります。広大なヒマラヤ山脈で遠くにいる雌に自分の位置を知らせるために産生しているのではないかと考えられており、性フェロモンの一種ではないかと言われています。
その香りは、獣臭とアンモニア臭の家畜小屋のような不快なニオイですが、それを乾燥させ溶解するとアンモニア臭が薄れ、甘くパウダリーな香りへ変化します。香水などに少量入れると官能的な香りと共に他の香りを引き立たせ、香りに「広がり」と「奥行き」が生まれ、更に持続性も高まることから、ラストノートに利用されることが多いです。
ホワイトムスクとは
ホワイトムスクとは、天然のムスク（麝香）が手に入らないことから、麝香以外の天然香料をブレンドした調合香料や、人工的に作られた合成香料のことで、香料の正式な成分名ではなく、天然のムスクの代わりに使われる調合ムスク、合成ムスクの通称として用いられています。
天然香料では、ムスクと似た温かみを持ち豆類や花を連想する香りで、植物性ムスクと呼ばれている「アンブレットシード」もありますが、非常に高価であることから、ホワイトムスクで代替することがほとんどです。
ホワイトムスクの香り
ホワイトムスクの香りは、天然のムスク（香鹿）から単離された化合物の構造の解明が進み、大環状ムスクの「ムスコン」や、多環状ムスクの「ガラクソリド（ギャラクソリッド）」など様々な合成香料があり、これらの香料を使って独自のホワイトムスクが調合されます。
その香りは、天然のムスクが持つパウダリーな甘さと温かみを持ち、石鹸で洗った後の人肌のような清潔感のある香りです。
まとめ
天然のムスクが持つ官能的で温かみのある香りは、フェロモンのような生理作用をもたらし、自らを魅力的に見せるアイテムとして、クレオパトラも愛用していたそうです。
現在では、天然のムスクの香りを確認できる機会はほとんどありませんが、調合香料や合成香料のホワイトムスクでも、天然のムスクが持つ温かみのある香りを感じることができるので、お気に入りのホワイトムスクの香りを見つけて楽しんでくださいね。
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