香りの揮発性・持続性

香りに触れていると、香料による揮発速度に違いがあることに気付くのではないでしょうか。精油などでも“ノート”と揮発速度を表現しており、早いもの(トップノート)や中間ぐらいのもの(ミドルノート)、遅いもの(ベースノート)などの3種類で分けています。
香料によって揮発速度が変わるものの、なかには遅いものもありすぐには香りが感じられないケースも。揮発が遅いものは香りが後から出てくるものなのか?も気になると思います。香料によって揮発速度が異なるとはどういうことなのか、詳しくお話しします。

香料の揮発速度とはなに?

そもそも香料の揮発速度とはどんなものなのか?も気になっているのではないでしょうか。これは“空間に香りが広がる速度”というとわかりやすいのではないでしょうか。沸点が低いものになると揮発しやすくなります。香りは目には見ることができませんが、分子の集合体でもあります。
空間に香りが広がるというのは、香りの分子が散らばっていることになります。体温や湿度が高くなると揮発速度が高くなるのです。揮発性の高い香料はすぐに香りが実感できる分、持続性は低くなります。その反対に揮発性の低い香料はすぐに香りを時間できないものの、持続しやすくなり、長く香りが楽しめるのです。

揮発速度が遅いと香りは後から出てくる?

香りをすぐに実感できない揮発速度の遅いものになると、香り自体が出てくるのが遅いと思っているかもしれません。香りの分子は常に動いていることもあり、香りがしないわけではありません。香料などで肌につけたときに、同じように香りを放っています。
ただ、香りの沸点が違うこともあり、香りとして認識するまでに時間がかかってしまうのです。遅い揮発速度のものだとしても、時間が経過することでより認識しやすくなるというのが正解です。香水などでつけてすぐのときは香りを感じずとも、次第に揮発速度の高い香料は消えていき、遅い香料が残ると思います。
最後まで肌に残っていて、長く持続している香りこそが、揮発速度の遅い香りというとわかりやすいのではないでしょうか。

揮発速度の早いもの・中間ぐらいのもの・遅いもの

揮発速度は香りによっても違います。早いもの・中間ぐらいのもの・遅いものを組み合わせて、香水やアロマなどが作られています。具体的にどんな香料が揮発速度により変わるのか、代表的なものを紹介していきたいと思います。
・揮発速度の早いもの(トップノート)
香りを嗅いだときに一番はじめにくるもので印象付けるうえでも重要な香りです。多少の違いはありますが、20分程度の時間持続して消えていきます。爽快感のある柑橘系の香りを使ったものが多いのが特徴です。
例えばオレンジ・アニス・カンファー・グレープフルーツ・セージ・タイム・ティーツリー・レモングラス・ローズマリー・レモンなどは揮発速度が早いものになります。ハーブ系など樹木をイメージするような香料が多いのも特徴といえるのではないでしょうか。
・揮発速度が中間ぐらいのもの(ミドルノート)
トップノートの次に香るものになり、4時間ぐらいは持続するのが特徴です。ブレンドなどでは香りの“軸”になるものとして考えられています。フローラル系などの万人受けする香りもありますし、スパイスなどの刺激的なものを使う場合もあります。
例えば、イランイラン・オレガノ・カモミール・クロモジ・ジャスミン・ゼラニウム・フェンネル・メリッサ・ミモザ・ローズなどはミドルノートに分類されています。香料の軸だけあり、好きな香りのものもあるのではないでしょうか。
・揮発速度が遅いもの(ベースノート)
揮発速度が遅く、6時間経過していても香りが残っているものになります。香料の全体をまとめる存在になり、香りを安定させる役割を持っています。
樹脂系などを使うことも多く、一番印象に残っている香りかもしれません。
例えば、カカオ・サンダルウッド・タイム・はちみつ・バニラ・ひのき・フランキンセンス・ローズウッドなどはベースノートに分類されます。これらは揮発するスピードがとにかくゆっくりになるので、香料の商品などでも見かける香りが多いのではないでしょうか。
ちなみに香りをブレンドするときなど、香りを残すのも必要になってきます。いずれもバランスが重要になり、時間の経過と共に楽しむこともできます。なかにはアルコールなども含むため、トップとミドルの両方を合わせて10%以下が理想とも言われています。

まとめ

香料によっても揮発速度が変わるからこそ、香りの実感できるタイミングにこれだけの違いがあります。つけてすぐに実感できるものとそうでないものがあるので、香料の特徴も踏まえながらブレンドしてみるのをおすすめします。
揮発速度が遅いものでも香りが出ていないわけではなく、全体のバランスを整える重要な役割をしていることを忘れないようにしてくださいね。

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